「勇気凛々」りんこのブログ

長年勤めた外資系の会社をいきなり退職して会社員脱出!日々思ったことを書いています。

「妊婦や幼児がいる人と同じ課だと迷惑?」

 同じ課に、育児休暇明けで、短縮勤務の同僚がいた。

幼児を持つ人が同僚になるのは3回目である。

1回目の人は通常勤務で、週2回ベビーシッターを雇っており、その日に残業をまとめてしていた。「○曜日と○曜日は残業できます。」とスタッフに共有していたので、仕事の締切はそれを考慮して決めていた。保育園からの電話は彼女の携帯にかかってきて、彼女は会議の時も携帯を持って会議室へ移動していたから、それが通じなかったらしい時の一回しか私は電話をとったことがなかった。だから、私自身、何も感じたことがなかった。

2回目の人は、通常勤務の上に、毎日ベビーシッターを雇っていて、全く残業を厭わなかった。おそらく給与のほとんどの部分がそれに消えていただろうが、こどもを理由に何か言及することが全くなかったため、私も彼女を特別視することはなかった。(彼女もそれを嫌がっていると思えた。)

 

短縮勤務の人と同じ課になるのは初めてだ。こどもが熱を出すので急な休みも多い。彼女の担当部署は日中外出や会議で不在の人が多く、まさに彼女の退社以降に電話が増える。しかもそれに限って緊急対応要のものが多い。それは残りのスタッフでフォローするしかない。

標題の件は、このこと。残りのスタッフが疲弊してしまうのだ。最近取り上げられている記事の論調でいくと、「その結果、業務を代わりに行っているスタッフが、幼児を持つ母親に冷たくなる。そもそも会社で対応するべきことをやっていないためにそうなっているのだから、非難されるべきは会社なのに、恨み辛みが母親に向かってしまう。」というアレだ。

 

では、会社で対応するべきこと、というのは何だろう?それを述べているものが見つからないので、考えてみた。

 

ヨーロッパに赴任したことがあるのだが、そこでは担当者不在、ということに対して、とても鷹揚だった。ご存じのとおり、ヨーロッパでは2~3週間の長期休暇が普通。担当者が休暇でいない、となると、「じゃあ仕方ないね。3週間後に。」となってしまい、プロジェクトがすすまない。日本でいうと、「担当者が交通事故で重傷で入院してます。」レベルのあきらめかたである。

だから、短縮勤務で2時間程度不在なのは全然問題にならない。同僚全員の、「不在」に対する認識が、日本のそれとは全く違うのだ。実は、私たち日本人が思っている、「不在の場合は何がなんでもそこにいるスタッフが対応する」ということは、それほど重要でないのかもしれない。もちろん、本当に重要な場面もあるだろうから、会社は、代わりに対応することとしないことの線引きをして、関係者に認識を徹底する必要がある。

 

また、会社は、利益を追求している場であるのに、そのドライな環境で、周囲のスタッフに「穴埋めをしてほしい」とウェットな対応を求めること(それも会社からは無言で)に無理がある。担当割や評価で、明確にすべきだろう。フォローしてもらっている人としている人とで評価が同じであれば、不満が出るのは当然である。これはもちろん、こどもがいて標準的な対応ができない人だけではなく、自己管理がなっておらず重要な会議の前夜に飲み過ぎて遅刻したり休んだりする人、気分の上下が激しくて、気に入らないことがあるとすぐ休んだり早退する人も同様である。

 

私は以前、大病をしたことがあり、半年間、短縮勤務を選んだ。給与や賞与は下がったが、その説明は上司よりきちんとされて、その分が自分のフォローをしているスタッフへいっていることで本当に気が楽だった。給与・賞与は労働の対価であるから、働きぶりにかかわらず、それが同じであったらどんなに気が滅入ったことだろうか。

 

たまたま日本が少子化のため、会社の中でさえも、「こどもがいる」と「それ以外」で不自由な人を別々に考えてしまうのは、お国のためにこどもをふやすことを奨励した戦前の国からの教育のようで危険だ。国からの政策と、会社とは、別に考えるべきだ。とうの母親だって、特別扱いを望んでいるわけではないだろう。

 

自己管理が出来なくて他のスタッフがその穴埋めをする場合とこどもがいる人では決定的に違いがある。今までの経験でわかっているのだが、育児休暇明けでこどもを預けると、最初の1年くらいはそのこどもはよく熱を出すが(こどもなりに、新しい環境でストレスがあるのかなぁ)こどもはそのうち慣れるのか、2年目くらいからは、そんなことはかなり減る。そしてこどもが育ったら、通常勤務にもどる。一時期だ、ということだ。

 

前述したが、「こどもが少ない、こども、こども」と右にならえで言っているのは、本当にこわい。同僚で、口にださずとも他の事情で苦労をしている人はたくさんいるのだから、会社では、ルールを整備して、こどもに関係なく、余計なストレスがかからないようにしたいものだ。在宅勤務や、在宅の際の会社から自宅への電話の転送等、正解はなくとも、いろいろな方策を柔軟にとりいれてみるべきだ。社員が具体的な提案をすると、会社も動きやすいだろう。